パドリングスポーツの楽しみ方・魅力とは?JSPA理事に徹底インタビュー!
アクティビティジャパンでも圧倒的な人気を誇る、パドルスポーツ!
今回は一般社団法人「日本セーフティパドリング協会(JSPA)」の理事で三重にあるアウトドア・ツアー開催ショップ「Verde大台ツーリズム」の代表取締役でもある野田綾子さんにインタビュー!
取材では、日本セーフティパドリング協会の活動やパドルスポーツの楽しみ方や魅力、インストラクターやガイド資格について詳しくうかがいました。
趣味としてパドルスポーツをやってみたい人はもちろん、インストラクターやガイドとして活躍したい人にも役立つ情報が満載ですよ!
パドルスポーツとは?
Q.まずはじめに、パドルスポーツの種目を教えて下さい。
野田さん:以下のような種類があります。
- カヌー・カヤック
・シーカヤック(海で行う)
・リバーカヤック(川の流水域で行う)
・オープンカヌー(静水域でゆったり楽しむ) - SUP(スタンドアップパドル)
- パックラフト(インフレータブルボート・ゴムボート)
パドルを使って遊ぶアクティビティ全般のことをいいます。
アクティビティを開催する場所は海や川などさまざま。水のあるところで行います。
日本セーフティパドリング協会について
Q.日本セーフティパドリング協会の活動を教えてください。
野田さん:「日本セーフティパドリング協会(JSPA)」は1988(昭和63)年に日本における、パドルスポーツの安全な普及活動を目的に設立されました。
設立当初は、「日本セーフティカヌーイング協会(JSCA)」という名称だったんですが、2022(令和4)年に現名称に変更したんです。
もともとは、カヌー・カヤックからはじまり、近年はSUP(サップ)など新しいジャンルが増えてきました。そのため、現在では多くのジャンルの普及活動を行っています。
ほかにはインストラクターやガイド向けの資格認定や公認スクール制度も設けています。JSPA公認スクールは会員として賠償責任保険に加入でき、顧問弁護士制度を利用できるのがメリットです。
また、パドルスポーツに参加するお客様が安全にアクティビティ体験ができるよう、ガイドやインストラクターに対してパドリングスキルやセーフティスキルやガイディングスキルについて指導も行っています。
協会や公認スクールが主催する「インストラクター・ガイド向けのイベント(会員研修会)」を全国各所で頻繁に開催し、安全について再認識しているんですよ。
ちなみに、今年は、JSPAのテキストを使いながら「安全と救助の知識」が一日で受講できるJSPAセーフティ&レスキュープログラム(SRP)講習を全国的に広く開催します。会員だけでなく、一般の方向けの講習会ですので、ぜひお越しください。
パドルスポーツの魅力・楽しみ方
Q.パドルスポーツの魅力・楽しみ方について教えて下さい。
野田さん:水上から見る景色、水上の浮遊感といった非日常体験ができるのがパドルスポーツの魅力だと思います。
パドルスポーツはフィールドによって技術が違うため、自分自身のスキルの成長が感じやすいスポーツだと言えます。そういった、技術の成長を楽しむ人もいますよ。
また、パドルスポーツは全国各地で手軽にできるのも魅力だと思います。
近年ではアクティビティジャパンのようなアクティビティのOTAも増えたこともあり、たとえば、沖縄でやってみよう、三重でやってみようなど、ツールとして手軽にできるようになりました。
体験ショップやツアー・プランの選び方
Q.アクティビティジャパンでも、たくさんのパドルスポーツのツアー・プランが掲載されています。初めての人は特に、多すぎて何を基準に選んだらいいのか迷うと思うので、どういった基準で体験ショップを選んだらいいかアドバイスをいただきたいです。
野田さん:どんなフィールドで遊びたいのか、例えば、海や川などの流水域なのか。湖などの静水域なのか。まずは自分がどう遊びたいかが大切だと思います。
レベルや難易度でいうなら、静水域や海であれば浜に近い場所なら初心者向けかなと。
ツーリングやクルージングで島まで行くなどは距離もあるので、難易度は少し高いかもしれません。
また、JSPA公認校スクールか、JSPAのインストラクター・ガイドがいるショップなのかは選ぶ基準にしてよいと思います。前述の通り、JSPAはパドルスポーツの安全な普及活動を目的にしています。インストラクター・ガイドの会員研修会を頻繁に開いて安全を確認しているので、お客さんも安心していただけるかと思いますよ。
ほかにも、ショップの紹介文で安全面を全面に出しているところは、選ぶ基準としてはひとつクリアしていると言ってもいいと思います。
保険に加入しているというのも、ショップを選ぶ基準のひとつになりますね。
Q.同じエリアで同様のツアーが複数ある場合、安価なプランを選ぶ人も多いと思います。「料金が高い方がよい」「安いツアーは避けた方がいい」など、ツアーの料金・価格は選ぶ基準になるのでしょうか?
野田さん:インストラクターやガイドの体験と知見、シーズンでも変わるので金額の相場はまったく違います。なので、金額が高いからいい、安いからいいということは一概には言えません。
ただ、料金・価格が安すぎるツアーは少し警戒したほうがいいかもしれません。
一度に体験する人が多くてインストラクターの目が届かないことも。ツアー時間が短かったりする場合もありますね。また、適格な保険に入っていなかったりする可能性もありますので注意してください。
パドルスポーツをする際に気をつけたいこと
Q.パドルスポーツを体験する際に気をつけたいことを教えてください。
野田さん:先ほどお伝えしましたが、ガイドツアーであれば、安全に配慮している・信頼のおけるショップを選ぶことが大切です。
ほかにはツアー・プランの当日・前日の中止基準がしっかりしていることなど。持ち物のアナウンスを守るのも大切です。
個人で行く際の注意としては、フィールドの難易度、気象条件、フィールドの状況(波・風)などを事前に確認しておくことです。
また、アウトドア・アクティビティ全般に言えることですが、一人では絶対に行かないこと。自然に接するところには住民の知見があります。そこの部分のマナーやルールを調べて必ず守ることが大切ですね。
インストラクターやガイドの資格について
Q.野田さんがJSPAでインストラクター・ガイドの資格を取ったきっかけを教えてください。
野田さん:私は三重の宮川で「Verde大台ツーリズム」という、SUP(サップ)やカヌーを中心としたアクティビティを提供するショップを運営しています。
先ほどお伝えしましたが、JSPAの資格は国家資格でもなく、パドルスポーツのガイドをするからといって法律としても求められていないもの。資格がなくてもガイドをすることは可能です。
けれど、商品としてお客様に販売する以上は、責任が生まれます。なので、一定基準の技術だったり安全管理だったり、経験を備えたものを提供するという商品にしたかったというのが、JSPAの資格を取った理由のひとつですね。
なぜJSPAを選んだかと言いますと、カヤックとかラフティングというのは、非常に死亡事故が多い業界、ショップ単体では賠償責任保険に加入できない遊びなんです。
なので、「Verde大台ツーリズム」でカヤックのプログラムを提供することになった際、(旅行業もやっているので関係する)保険会社の方と話をしていたんです。その時に「野田さん、カヤック部門は賠償責任保険に含まれないですよ」と言われました。賠償責任保険には含まれないということは、なにか事故があったときに会社としての責任を果たせない。
「これは困ったな」と思ってほかのガイドさんたちに話を聞くと、「JSPAという協会全体で賠責に加入しているから、そこの部分はクリアできるよ」とアドバイスをもらったんです。
ショップや商品としての信頼とか、誠意とかそういう部分をしっかりしておきたかった。
これが、JSPAを選んだ一番強いきっかけです。
JSPAでは、保険制度が整っているのもそうですが、公認弁護士と契約し、バックアップ体制がとられている。何かあった時のために準備しておくというのは、すごく大事だと思います。
Q.資格を持っているか持っていないかで、パドルスポーツをする際に違いはありますか?
野田さん:個人で遊ぶ際には自由なので、資格の有無は関係ありません。
ガイドの場合、資格には「ベーシックインストラクター」「アドバンストインストラクター」「アドバンストガイド」とそれぞれガイドができるエリアが違います。
Q.インストラクターやガイドの資格はどのように取ったらいいでしょうか?
野田さん:資格はJSPA公認スクールで取得することができます。
Q.アクティビティジャパンでも公認校の事業者様の登録はあるのですが、資格取得プランは特にないようです。資格を取得するにはどうしたらいいでしょうか?
野田さん:まずはJSPA公認スクールに遊びに行ってもらい、ガイドがどんな仕事をしているのか実際に見ていただくのがよいと思います。
資格にもいくつか種類があります。取得できる資格はショップによって違うため、遊びに行って体験してもらうのが早いと思いますよ。
最初はゲストとしてツアーに参加し、「SUP(サップ)やカヤックってすごく楽しいな」からスタートし、インストラクターになる人が多いです。そして「夏だけでもお手伝いできないか」という会話の中からインストラクターにつながっていく人も多い。
それなら「こういったスキルを身に着けた方がいい」「こういった講習会がある」といったアドバイスをしながら、インストラクターの資格を取得するのにつながっていくこともあります。
インストラクターの資格所有者は増えていますね。特に去年2023年はSUP(サップ)が多かったです。
おすすめのスポットについて
Q.パドルスポーツのおすすめスポットを教えてください。
野田さん:カヤックのガイドツアーが初めて日本で開催されたのはどこか、ご存じですか?
実は、カヤックツアーは長野にある野尻湖で初めて開催されたといわれています。JSPA公認のガイドやショップが多い。安全に配慮したよいショップが多いんですよ。 また、野尻湖は北信五岳の山並みを眺めながらカヤックをできるため、絶景を楽しみたい人におすすめです。
私が運営しているショップ「Verde大台ツーリズム」がある三重・奥伊勢は宮川清流の上流にあります。ダムとダムに囲まれているんですが、ダム湖ではないんです。ダム河川なのが特徴です。河川が8kmほどつながっているエリアなんですよ。
河川の途中には谷があって、景色も楽しめますよ。
三重県南部エリアは、本州一の多雨地帯です。そのため、水量の多い滝や1年中枯れない苔があるなど、水が豊かで美しい地域なんです。
ダム河川のため、本流へつながる多くの支流へも遊びに行くことができ、ジャングル・クルーズやアドベンチャーツアーが体験できるのが魅力です。ゆったりとした本流の静水と、ジャングルクルーズ感を楽しめる支流とで、景色を変えて楽しめますよ。漕ぎだしてすぐ、こうした地形を楽しめるのは恵まれたフィールドだと思っています。
宮川清流は、かつては日本一の清流として認定されたこともあるほど水がきれいです。パドルスポーツを楽しみに観光で来る方が多いですね。
Q.「Verde大台ツーリズム」ではどのツアー・プランが人気ですか?
野田さん:「SUPハーフ」と「カヌーショートツーリング」が人気ですね。
SUPハーフは波がほとんど立たない静水域でおこないます。初心者にも安心のレッスンプランになっているので、初めてSUP(サップ)をする人やまずは体験してみたいと思っている人にもおすすめですよ。
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カヌーショートツーリングは「カナディアンカヌー」に乗ってクルージングに出かけます。
カナディアンカヌーは安定性もあり、デッキが深く濡れにくいため、ゆっくりと景観を楽しむことができます。初めてカヌー体験をする人にもぴったりですよ。
【三重・奥伊勢・カヤック】【カヤックショートツアー】~はじめての水あそび~
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Q.ツアープランの対象年齢が幅広いですが、小さなお子さんやシニアの参加も多いのでしょうか?
野田さん:先にお伝えしたツアープランはとくに、波が穏やかなフィールドでおこなうので、小さなお子さんも親御さんと同乗して一緒に楽しむということも多いですよ。
お子さんやおじいちゃん・おばあちゃんも含めて親子3世代で遊ぶ方も多いです。
次に人気のツアーはシングルSUP(サップ)です。「リフレッシュしたい」と友達同士やカップルで参加する方も多いですね。
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パドルスポーツを楽しもう!
Q.最後に一言お願いします。
野田さん:JSPAは、誠実な団体だと思っています。みんなで研鑽し合いながら勉強をして、安全なパドルスポーツの普及について各々が考えて取り組んでいる協会です。派手ではないけどしっかりした団体だと思います。
ガイドやインストラクターを目指したいと考えている人は、ぜひ一度JSPA公認スクールに参加してみてください。
今回は、JSPA理事・野田 綾子さんにお話を伺いました。
最後に、アクティビティジャパンで予約可能なJSPA公認校をご紹介します。ショップ選びに迷った際は、JSPA公認スクールか、JSPAのインストラクター・ガイドがいるかをショップ選びの参考にして、パドルスポーツを満喫してください!
アクティビティジャパンで予約可能なJSPAの公認校
※本記事の内容は2024年5月現在の情報です。