時代祭はいつ?どんな祭&いつ始まった?
京都で例年10月22日に開催される「時代祭」を特集!
時代祭は葵祭や祇園祭と並ぶ京都三大祭のひとつ。京都平安神宮の大祭です。
時代祭とはいつ始まったのか?歴史や由来、京都で10月22日に開催される理由、「どんな祭なのか」などをわかりやすく解説します!
あわせて時代祭りの見どころもお伝えするので、ぜひ参考にして楽しんでくださいね!
時代祭とは|どんな祭?
まずは「時代祭りはどんな祭なのか」をわかりやすく解説します!
時代祭とは?いつ始まった?
1868(慶応4)年に首都の座を東京に明け渡した京都。その後、「首都が東京に遷都された京都に活気を」と活発に誘致運動が行われ、1895(明治28)年に京都で「第4回内国勧業博覧会」が開催されました。平安神宮が創祀(そうし)された岡崎一帯を舞台にして多数のパビリオンが立ち並び、博覧会は大成功。
同年1895(明治28)年秋には平安遷都から1100年の紀念祭と式典が開催され、最終日に時代風俗の行列が行われました。これが現在の時代祭となりました。
御鳳輦(ごほうれん)に乗った桓武天皇と孝明天皇の御神霊に京都市街の安泰と繁栄、進化をご覧になっていただくのが行列の目的です。
時代祭はどんな祭?いつの時代の祭なの?
時代祭には約2000人の市民が参加し、明治維新時代から平安京の造営された延暦(えんりゃく: 奈良時代から平安時代にかけての782年〜806年)時代まで、時代ごとの扮装をして京都を練り歩きます。
行列の順序は新しい時代である明治維新から始まり、より古い時代の延暦時代へとさかのぼるのが特徴。
最後に御鳳輦(ごほうれん)の神幸(しんこう)列、および弓箭(きゅうせん)組列の順で編成されています。
時代祭が10月22日に開催される理由
時代祭はどうして例年10月22日に開催されるのか?不思議に思う人も多いことでしょう。
そこで時代祭が例年10月22日に開催される理由を解説します。
前述しましたが、1895(明治28)年秋に平安遷都から1100年の紀念祭と式典が開催され、最終日に行われた時代風俗の行列が現在の時代祭となりました。
第1回目は10月25日に開催されましたが、翌年1896(明治29)年より桓武天皇の車駕(しゃが:車・乗り物)が新都に入った日とされる10月22日に改められました。以来、10月22日に行われることが習わしになっています。
時代祭で行われる祭事
日時 | 祭儀の名称 | 祭儀の内容 |
---|---|---|
10月15日 | 時代祭宣状祭 | 13時30分 平安神宮で行列の主な参役に選ばれた約500名が行列の無事執行を祈願。祭儀終了後、宮司より宣状(参役の任命書)が1人ずつ授与されます |
10月21日 | 時代祭前日祭 | 10時 平安神宮で翌日の祭儀と参列者の安全を祈願します |
10月22日 | 時代祭 | 7時 平安神宮において平安講社総長・奉行が参列し、平安講社を代表して総長が祭文を奏上します |
10月22日 | 神幸祭 | 8時 2基の御鳳輦に御霊代をお遷し、9時に神幸列の行列を整えて平安神宮を進発。10時ごろに京都御所・建礼門前行在所に到着 |
10月22日 | 行在所祭 | 10時30分 京都御所・建礼門前行在所にて、崇敬者並市民代表が参列。神饌講社(京都料理組合)より神饌(しんせん/神に供える酒食)を、白川女(しらかわめ)より花が献上されます |
10月22日 | 行列進発 | 12時 京都御所・建礼門前を出発 |
10月22日 | 大極殿祭並還幸祭 | 16時 すべての行列が平安神宮に到着した後、御鳳輦を大極殿へ奉安。延暦文官参朝列の三位が代表で祭文を奏上します。御霊代を御鳳輦より本殿に遷して祭典が終了 |
10月23日 | 時代祭後日祭 | 10時 平安神宮にて祭典終了とともに祭具の片付け格納を実施 |
時代祭のコース・ルート|時間&スケジュール
※行列通過には2時間ほどかかります。
※時刻は予定のため前後する可能性があります。
時代祭 行列の順序&編成
時代祭のメインイベントといえば、時代風俗行列!
時代祭を見たいという人は行列の順序や編成を学んでおくと、より楽しめますよ!
時代祭 行列の順序:1.名誉奉行
下記の人々が列に参加します。
- 京都府知事
- 京都市長
- 京都市会正副議長
- 時代祭協賛会会長
- 京都商工会議所会頭
- 時代祭旗
- 総奉行
時代祭 行列の順序:2.明治維新時代
・維新勤王隊列(いしんきんのうたいれつ):丹波国北桑田郡山国村(京都市右京区京北)の人々が務めた山国隊(やまぐにたい=農兵隊)が原形です。先頭を務めるのは鼓笛隊。
・幕末志士列(いしんししれつ):明治維新で活躍した下記の志士が登場。
- 桂小五郎(かつらこごろう)
- 西郷吉之助(さいごうきちのすけ)
- 坂本龍馬(さかもとりょうま)
- 中岡慎太郎(なかおかしんたろう)
- 高杉晋作(たかすぎしんさく)
- 吉田松陰(よしだしょういん)
- 吉村寅太郎(よしむらとらたろう)
- 頼三樹三郎(らいみきさぶろう)
- 梅田雲浜(うめだうんぴん)
- 橋本左内(はしもとさない)
- 近衛忠熈 (このえただひろ)
- 姉小路公知(あねがこうじきんとも)
- 三條実萬(さんじょうさねつむ)
- 中山忠能(なかやまただやす)
- 平野国臣(ひらのくにおみ)
・七卿落(しちきょうおち):倒幕計画に破れた7人の公卿が、京都から追放された時の様子を表現。
- 公卿 三條実美(さんじょうさねとみ)
- 公卿 三條西季知(さんじょうにしすえとも)
- 公卿 東久世通禧(ひがしくぜみちとみ)
- 公卿 壬生基修(みぶもとおさ)
- 公卿 四条隆謌(しじょうたかうた)
- 公卿 錦小路頼徳(にしきこうじよりのり)
- 公卿 澤宣嘉(さわのぶよし)
- 志士 真木和泉(まきいずみ)
- 志士 久坂玄瑞(くさかげんずい)
時代祭 行列の順序:3.江戸時代
・徳川城使上洛列(とくがわじょうしじょうらくれつ):即位の礼や年始の表啓など、京都における重要な儀式に江戸幕府が将軍の名代として遣わした大名列を再現。
・江戸時代婦人列(えどじだいふじんれつ):江戸時代に生きた女性の髪型やファッションを下記の人々が再現します。
- 和宮(かずのみや)
- 大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)
- 中村内蔵助の妻(なかむらくらのすけのつま)
- 玉瀾(ぎょくらん)
- 梶(かじ)
- 吉野太夫(よしのたゆう)
- 出雲阿国(いずものおくに)
時代祭 行列の順序:4.安土桃山時代
・豊公参朝列(ほうこうさんちょうれつ):豊臣秀頼が元服した際、伏見城から御所へ参内する豊臣秀吉の一行を表現。
・織田公上洛列(おだこうじょうらくれつ):織田信長が1568(永禄11)年に天下統一を目指し上洛(地方から京都に行くこと)した時の様子を再現。下記の武将が登場します。
- 織田信長(おだのぶなが)
- 羽柴秀吉(はしばひでよし)
- 丹羽長秀(にわながひで)
- 滝川一益(たきがわかずます)
- 柴田勝家(しばたかついえ)
時代祭 行列の順序:5.室町時代
・室町幕府執政列(むろまちばくふしっせいれつ):馬に乗る足利将軍は烏帽子に金襴(きんらん)の衣装をまとった軽装の小具足姿。主要氏族が御供衆として従います。公家・法中・御博士・医師などほかには見られない人々が行列に参加しているのも見どころ。
・室町洛中風俗列(むろまちらくちゅうふうぞくれつ):京の町衆に流行った「風流踊り」を再現。当時参加するのは男性のみで奇抜な仮装や妻・娘姿の派手な衣裳で着飾って参加します。
時代祭 行列の順序:6.吉野時代
・楠公上洛列(なんこうじょうらくれつ):1331(元弘元)年に後醍醐天皇が還幸される際、上洛を導いた楠木正成(くすのきまさしげ)一族の行列を表現。
・中世婦人列(ちゅうせいふじんれつ):淀君(よどぎみ)や静御前(しずかごぜん)、大原女(おはらめ/大原から薪や炭を頭に載せて売り歩く女性たち)・桂女(かつらめ/桂川の鮎と飴を京の町で売り歩く女性たち)などが練り歩きます。
時代祭 行列の順序:7.鎌倉時代
・城南流鏑馬列(じょうなんやぶさめれつ):流鏑馬(やぶさめ)とは、馬を走らせながら3ヶ所に設置された的を射る騎射の技。承久3(1221)年に後鳥羽天皇が城南離宮で武士1,700名を召集した際の様子を表現。
時代祭 行列の順序:8.藤原時代
・藤原公卿参朝列(ふじわらくぎょうさんちょうれつ):平安時代中期以降、藤原氏がもっとも繁栄したころの様子を再現した列。
・平安時代婦人列(へいあんじだいふじんれつ):京都五花街・三花街の芸妓が交代で下記を表現。
- 巴御前(ともえごぜん)
- 横笛(よこぶえ)
- 常磐御前(ときわごぜん)
- 紫式部(むらさきしきぶ)
- 清少納言(せいしょうなごん)
- 紀貫之の女(きのつらゆきのむすめ)
- 小野小町(おののこまち)
- 和気広虫(わけのひろむし)
- 百済王明信(くだらのこにきしみょうしん)
時代祭 行列の順序:9.延暦時代
・延暦武官行進列(えんりゃくぶかんこうしんれつ):坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が東征を終え、平安京に凱旋する様子を再現した列。
・延暦文官参朝列(えんりゃくぶんかんさんちょうれつ):延暦時代の公卿が朝廷に参上する際の様子を再現。
・神饌講社列(しんせんこうしゃれつ):時代祭の当日に神饌物を奉献する人々の列。
・前列(ぜんれつ):御神幸列の前を歩く列。雅楽の奏者、迦陵頻伽(がりょうびんが)、胡蝶など優美な衣装が際立ちます。
・神幸列(しんこうれつ):御賢木(おさかき)を先頭に御鳳輦が続きます。先の御鳳輦には孝明天皇、後の御鳳輦は桓武天皇が祀られています。
・白川女献花列(しらかわめけんかれつ):比叡山のすそ野・白川にある花畑の花を京で売り歩いていた白川女の列。本列は神前に供える花を頭に載せて歩きます。
・弓箭組列(きゅうせんくみれつ):弓矢の技に優れた人達の子孫により編成された弓箭組の列。射術を研究し、桓武天皇の平安遷都の際に警護を担当したともいわれています。また、明治維新の際に山国隊とともに東北鎮護にあたり活躍したとされています。
時代祭の見どころ
続いて、時代祭の見どころをピンポイントで紹介します!
時代祭の見どころ1:伝統的なファッション
衣裳やヘアスタイル、祭具など、時代ごとに正確に復元されているのが見どころのひとつ。
同じ平安時代の女性でも清少納言は十二単、紫式部は小袿(こうちき)をまとっているなど、細部が違うので、見比べてファッションチェックをするのも楽しいですよ。
時代祭の見どころ2:市井(しせい)の女性も登場
織田信長や紫式部など、教科書に載っているような有名人が登場する時代風俗行列。
しかし、京の町衆の風流踊りを再現した「室町洛中風俗列」や職業集団ともいえる「白川女(花を売り歩いた女性)」「大原女(柴を頭に載せ、京の町まで売りに出かけた女性)」など市井の女性も登場します。
時代祭の見どころ3:御鳳輦(ごほうれん)
延暦時代列に続いて神饌物(しんせんぶつ:神にお供えする飲食物)を奉献する神饌講社列、雅楽の伶人(れいじん:雅楽を演奏する人)などの前列、神幸列が登場します。
神幸列には2基の御鳳輦があり、平安神宮の御祭神である桓武天皇と孝明天皇の御神霊が乗られています。
時代祭を楽しもう!
京都で10月22日に開催される時代祭は約2000人の市民が参加する壮大な祭です。
明治維新時代から延暦時代まで、時代ごとの扮装をした市民の行列は圧巻!
時代ごとのヘアスタイルや服装を見比べることができ、子供から大人まで楽しめます。
記事を読んで概要を学び、時代祭を思う存分満喫してくださいね!
※本記事の内容は2024年8月現在の情報です。
アイキャッチ画像提供:PIXTA